ECサイトやカタログ、SNSでよく見かける、コロンと美しく直立した指輪(リング)の写真。デザインの全体像や内側の刻印、立て爪の立体感がひと目で伝わるため、ジュエリーのメイン画像には欠かせない王道のアングルです。
しかし、指輪はその形状ゆえに自立が難しく、ご自身で撮影しようとすると「素人感」が出やすい非常に難易度の高い被写体でもあります。
今回は、当スタジオ(BEADO)のカメラマンが現場で実際に使用しているプロの固定技術・機材から、金属の反射を制御するライティングのコツ、 そして現場で必ず直面する「目に見えない落とし穴」まで詳しく解説します。
1. 指輪を立たせるためにプロが使うもの
商品に傷をつけず、かつ写真への写り込みを最小限に防ぐため、プロの現場では背景やマテリアルに合わせて以下のような特殊な固定素材を使い分けています。
ジュエリー専用ワックス(固定粘土)
- ジュエリー撮影で最も一般的に使われる半透明や白色の粘土状のワックスです。
- ほんの米粒ほどの量を指輪の底面につけ、背景に押し付けるようにして固定します。
- 十分な粘着力がありながら、剥がした後に地金にベタつきや痕が残りにくいのが特徴です。
ミュージアムワックス / クリアタック(粘着剤)
- 美術館で展示品を固定する際にも使われる、無色透明の粘着剤です。
- ガラスやアクリル、大理石などの背景素材に指輪を立たせる際、固定部分を限りなく目立たせたくない場合に最適です。
2. 綺麗に立たせるための「4つのプロの技術」
ただワックスで固定するだけでは、販売戦略に繋がるプロクオリティの写真にはなりません。撮影時には以下の4つのポイントを解説しています。
ワックスの量を極小に抑える
固定するワックスの量が多すぎると、指輪の底からはみ出して不自然な影が生まれ、商品の高級感が損なわれます。指輪の太さや重量に合わせて「ギリギリ自立する最小限の量」を見極めます。
地金の写り込みを計算した配置
プラチナやゴールドなどの貴金属は鏡面反射するため、周囲のものを何でも映し出します。底面のワックスの影が地金に写り込まないよう、カメラマンはファインダーを覗きながら1度単位で角度を微調整します。
多焦点合成(深度合成)
マクロレンズ(拡大撮影)を使うジュエリー撮影ではピントが合う範囲が極端に狭くなります。そのため、手前から奥の刻印までシャープにピントが合った1枚を作るため、ピント位置を変えて複数枚撮影し、それを合成する高度な技術を用います。
レタッチ
どんなに薄く綺麗に固定しても、拡大するとわずかな固定痕が見えることがあります。Photoshopなどの専用ソフトを使い、職人技の画像加工で固定の痕跡や細かな小傷を完全に消去して仕上げます。
【要注意】プロの現場でも頻発する「目に見えない埃(ハウスダスト)」の罠
指輪を立たせる作業において、プロでも最も神経を使うのが「空気中の細かな埃(ハウスダスト)」です。
自立しない指輪をワックスなどで綺麗に立てようと集中している最中にも、肉眼では目に見えないレベルの微細な埃が、静電気などによって指輪の表面や隙間に付着してしまいます。
指輪をようやく理想の角度で立たせ、ライティングをバッチリ決めてシャッターを切り、「撮影後に大画面のモニターで確認してみると、指輪の地金に埃がしっかりと写り込んでいて撮影のやり直しになる」ということは、ジュエリー撮影の現場では本当によくあるトラブルです。
特に地金がピカピカに磨かれたリングや、ダイヤモンドの立て爪の隙間などは埃が目立ちやすく、やり直しになれば多大な時間と労力がロスしてしまいます。そのため、プロの現場では常にブロアーで空気を吹きかけ、スタジオの空気清浄を徹底するなど、ハウスダスト対策には細心の注意を払っています。※スプレータイプのブロアーは便利ですが価格の割にすぐになくなるのが痛いところです。
3. なぜジュエリーの自社撮影(インハウス)は難しいのか?
これまでご紹介した通り、指輪を1つ美しく立たせて撮影するだけでも、以下のような多くの壁が存在します。
- 激しい金属反射をコントロールする職人技の写り込み防止策とライティング技術
- 手前から奥までピントを合わせる多焦点合成の専用機材とソフト 被写体には近づきすぎない
- ハウスダストによる撮影やり直しのリスクや、1商品あたり数時間を要する膨大な手間と時間
- ジュエリーはとても小さいので肉眼では見えなかった僅かな傷や色、コーティングのムラ、汚れなどもマクロレンズにより写るため、これらの処理も必要となる技術面・時間面の壁
- 撮影後の画像処理
これらをすべて自社(インハウス)で内製化しようとすると、機材投資だけでなく、担当者様の時間的コストが非常に大きくなってしまうのが実情です。
要するに‘とても小さな鏡状の綺麗なものを大きくしても綺麗に見せる’ことは難しい
ということですね。
4. 全国対応のジュエリー撮影代行なら「BEADO(ビード)」にお任せください
大阪の「BEADO」では、郵送による全国からのジュエリー撮影を承っております [ビードの案内]。徹底した検品管理、多焦点合成や白抜き加工などの高度な技術への対応、1商品5カット4,000円〜のコストパフォーマンスが特徴です [ビードの案内]。詳細やお問い合わせは、[BEADOのジュエリー撮影サービス特設ページ]にてご確認いただけます。
